はじめに
前回の豆知識では、主に地上における台風域内の気圧と風の特徴を述べました。我々が生活する地上付近の特徴を知ることは、もちろん重要です。
しかし、実際に台風を構成する雲は高いところでは、12km以上にも達します。
そこで今回の豆知識では、図を交えながら台風の立体構造についてお話しするとともに、台風が発達する仕組みについて考えてみます。
台風を立体的にみたときの構造
雲の構造
台風の雲の構造を模式図で示します。図1が上から見た図、図2が横からみた図です。
台風の眼を取り囲むようにそそり立つ積乱雲群を、眼の壁雲(アイウォール)といいます。眼の壁雲は高さ12km以上、ときには16kmにも達します。前回の豆知識では、水平方向にみた場合、一般に風速が最大となるのは中心から30~100kmの範囲であることを述べました。この風速が最大となる領域が壁雲付近です。ここは、台風に伴う大雨を主に降らせる場所でもあります。
その周辺部では、積乱雲や積雲が帯状に連なり、らせん状に台風の中心へ向かってのびています。この雲の帯を、らせん状降雨帯(スパイラルバンド)といいます。らせん状降雨帯を構成する雲は、眼の壁雲より一般に背が低いものの、強い雨を降らせることもあります。また、強風や突風を伴います。
らせん状降雨帯は、内側降雨帯と外側降雨帯に分けることがあります。外側降雨帯は、いわば台風を取り巻く最も外側の雲の帯です。ただし、内側降雨帯と外側降雨帯との境界が明瞭でない場合もあります。

図1 台風の雲の構造(上から見た模式図)

図2 台風の雲の構造(横から見た模式図)
なお、台風は、周囲の一般場における水平風の鉛直シアー(風の高度による風向・風速の差:豆知識7、豆知識46)が弱い環境で発生・発達します。
鉛直シアーが強いと、発達した積乱雲が上空で流され、眼や壁雲を含む台風特有の鉛直構造が維持できず、台風は発達しにくくなります。
内部の気温
図3は、台風の中心付近の気温(同じ高度の周囲と比べた場合)のイメージを、図2に書き込んだものです。
このように、台風の中心部の気温は地表面から圏界面まで(大気下層から上層まで)、周りより高く、特に大気の中~上層で顕著に高い傾向があります。この気温が高い部分を、台風の暖気核と呼びます。
豆知識2で述べたとおり、ある高度における気圧はそれより上にある大気の重さに等しいです。
(ちなみに、このように気圧が上にある空気の重さで決まる関係を「静水圧平衡」といいます)
台風の中心部の気温が高いということは、中心部の空気が軽いことを意味します。よって、各高度で中心付近の気圧は周りより低くなるのです。しかも、周りの気圧と中心気圧の差、いわば台風の中心の気圧傾度は高度が低いほど大きくなります。これは、地表ほど、その上にある暖かい空気全体による気圧低下の効果が積み重なるためです。

図3 台風中心付近の暖気核(横からみた模式図)
注)図2に暖気核を加筆。
風の流れ
摩擦力の影響
地上から高度約1000mまでの大気の層を、大気境界層(プラネタリー境界層)といいます(図4)。それより上は自由大気と呼ばれます。
大気境界層では、風は地表面(海面)の摩擦力の影響を受けます。通常、陸上の方が、海(湖)上よりも摩擦力が大きく働きます(豆知識3)。
一方、自由大気で吹く風は、地表面(海面)の摩擦力の影響をほとんど受けません。

図4 高度別にみた風に対する地表面の摩擦力の影響
注)自由大気は高度5000mまで表示。
豆知識3において、
①地面摩擦の影響を受けない上空において、気圧傾度力とコリオリ力が釣り合った状態で吹く風を地衡風と呼ぶ。
②地面摩擦の影響を受けない上空において、等高度線が曲率をもつ(曲がっている)場合、気圧傾度力とコリオリ力に加え遠心力が働き、その状態で吹く風を傾度風と呼ぶ。
③地上付近で吹く風には、気圧傾度力とコリオリ力に加え、摩擦力が働く。
ことを述べました。
台風は等圧線(等高度線)が曲率をもつので、摩擦の影響を受けない自由大気では上記の②、摩擦の影響を受ける大気境界層では②と③を考慮した風の吹き方を考える必要があります。
すなわち、台風の中心付近の風は、自由大気では摩擦のない傾度風(図5左)、大気境界層では傾度風に摩擦の影響を加味した風(図5右)と考えられます。なお、図5右では分かりやすさのため誇張して表現していますが、実際には、風は等圧線をわずかな角度で横切り、台風中心方向へ吹き込みます。

図5 摩擦の影響が及ばない自由大気の傾度風(左)と摩擦の影響を受ける大気境界層の風(右)
台風の風を、接線方向の風(円と1点で接する直線方向の風)と、動径方向の風(中心付近に向かう風:接線方向の風に直角)の2つの成分に便宜上に分けることがありますが、その大部分は接線方向の風です。
接線方向の風については、地上から高度が上がるにつれて摩擦の影響が急速に小さくなるため、風速は増加します。しかし、大気境界層より上では、暖気核(図3)をもつ台風の気圧場の構造を反映して、接線方向の風は高度とともに次第に弱くなります。このため、その中間に位置する大気境界層上端付近(高度1~2 km)で、接線方向の風は最大となります(図6)。
一方、動径方向の風が最大となるのは、大気境界層の中(高度1km以下)です(図6)。これは、風がほぼ円形の等圧線(等高度線)を地面摩擦によって横切り、中心に向かって吹き込むこと(図5右)の反映です。

図6 台風の接線方向の風、動径方向の風(中心に向かう風)が最大となる高度
注)図4に黄色塗りの部分を加筆。
台風内部の立体的な風の流れ
図7を用いて、台風内部の立体的な風の流れを整理します。既に述べたとおり、大気下層において風は反時計回りに中心に向かって吹き込みます(①)。
中心付近に集まった空気は行き場を失うので、上昇流となります。つまり、中心付近でらせん状に上昇して、眼の壁雲(背の高い積乱雲)をつくります(②)。
大気の上層(高度10~16km)に達した風は、時計回りに向きを変えながら周辺に吹き出します(③)。
また、台風の中心では弱い下降流となっており(④)、雲がほとんどない領域(台風の眼)を形成します。

図7 台風内部の立体的な風の流れ(模式図)
高度別に見た台風域内の気温と風の吹き方の事例
地表、900hPa、800hPa、700hPa、600hPa、500hPa、400hPa、300hPa、250hPa、200hPa、150hPaの各高度における台風域内の気温と風の吹き方の一例を紹介します。
2026年の台風9号を取り上げます。まずは、7月8日9時の状況です(図8)。

図8 2026年7月8日の9時の地上天気図
注)気象庁提供。注目した台風の中心位置に矢印を記入した。
まず、各高度における台風域内の気温を見てみます(図9①~⑪)。各高度において、台風の中心付近の気温が周囲より高くなっていることが確認できます。特に、500hPa、400hPa、300ha、250hPa、200hPa、150hPaでは、台風の中心付近の気温が周囲より顕著に高くなっていますね。
これは、図3の模式図で示したように、大気の中~上層で暖気核の形成が顕著になることを、実際の台風でも確認できる例です。











図9 2026年7月8日の9時の各高度における気温と風向の予想図(①~⑪)
注)欧州中期予報センターの数値予報モデルによる予測値(Windy.comのwebサイトより入手)。実線は気温。気温の分布は、色を変えて表示。細く途切れた線は、風の流れを示す(今回は静止画を示すが、実際のwebサイト上では粒子アニメーションで表示されている)。地上の台風の中心位置に矢印を記入した。
次に、各高度における台風域内の風速・風向を見てみます(図10、図11①~⑪)。各高度において、台風の中心の少し外側で風速が最大となっています(眼の部分の風は弱い)。高度別に見ると、特に900hPa、800hPa付近、すなわち大気境界層上端付近(高度1~2 km)で風が最も強くなっていることが分かります。
風向については、地表~200hPaまでは反時計回りであり、このうち地表と900hPaでは、風が等圧線(等高度線)をわずかに横切って中心に向かって吹き込んでいることが分かります。また、大気の上層となる150hPaでは、風は中心の少し外側から周辺に吹き出しており、その一部は時計回りに向きを変えながら吹き出しているように見えます。
これらは、図3および図5~7の模式図で説明した風の特徴とよく対応しています。

図10 Windy.comのwebサイトにおける風速と配色の関係
注)本図は風速と配色の関係を示すために掲載するものであって、今回の台風(2026年7月)の気象図とは関係ない。詳細は、豆知識5の図6の注釈および関連する本文を参照。











図11 2026年7月8日の9時の地上の気圧と風速・風向の予想図(①)、各高度と風速・風向の予想図(②~⑪)。
注)風速(kt)の分布は、色を変えて表示(図10も参照)。①の実線は気圧、②~⑪の実線は高度。他の図の注釈は図9を参照。
次に、同じ2026年の台風9号の7月11日9時の状況です(図12)。

図12 2026年7月11日の9時の地上天気図
注)図の注釈は図8を参照。
このときの各高度における台風域内の気温も見てみます(図13①~⑪)。この例でも図9①~⑪と同様に、大気の中~上層で暖気核が顕著に形成されていることが確認できます。











図13 2026年7月11日の9時の各高度における気温と風向の予想図(①~⑪)
注)図の注釈は図9を参照。
さらに、各高度における台風域内の風速・風向を見てみます(図14①~⑪)。この例でも、図11①~⑪と同様に、図3および図5~7の模式図で説明した、高度別にみた風の吹き方の特徴が確認できます。











図14 2026年7月11日の9時の地上の気圧と風速・風向の予想図(①)、各高度と風速・風向の予想図(②~⑪)。
注)図の注釈は図11を参照。
台風のエネルギー源
台風が発達する仕組み
豆知識3で、「低気圧の場合、“中心に向かって吹き込んだ風”は収束し(空気が集まり)、その空気は上昇する。この“上昇流”は、台風の発達に本質的な役割を果たしている」と述べました。
豆知識16では、「“水蒸気”で飽和している空気塊が上昇すると、その中の水蒸気は凝結して“潜熱”を放出する」と述べました。
また、今回、台風の中心部に“暖気核” (図3)が形成されることに伴う“気圧の低下”について述べました。
これらの「中心への風の吹きこみ、上昇流、水蒸気、潜熱、暖気核、気圧の低下」をキーワードとして、台風が発達する仕組みを整理すると、以下のようになります。以下の①~⑤は、図15の①~⑤に対応します。
①台風の中心は気圧が低い
↓
②海面近くで中心に吹き込む風が強くなる(その際、暖かい海面から水蒸気が供給される)
↓
③中心に集まった空気(水蒸気を多く含む)は行き場を失って上昇流となる。
↓
④水蒸気が凝結して雲となるとき、潜熱を放出する。
↓
⑤上空の空気が暖められ、暖気核が形成される。
(なお、図15では省略しているが、眼の中の下降流(図7)に伴う断熱昇温(豆知識15)も、暖気核の形成要因の一つとなる)
↓
①その結果、台風の中心付近の海面近くの気圧はさらに低下する。
↓
②、③、④、⑤、①・・の循環を繰り返す。
このように、台風には「エンジン」に「水蒸気」という燃料が持続的に供給される仕組みがあります。このため、台風は発達・維持することができるのです。

図15 台風が発達する仕組み(横からみた模式図)
注)図3に簡略化した風の流れなどを加筆。台風内部の風の詳細は図7を参照。
台風発達の抑制
海面水温の低下による発達抑制
海の水温に関しては、一般に暖かく軽い海水が表面付近にあり、その下には冷たく重い海水があります。このため、台風の強い風によって海水がかき混ぜられると、下層の冷たい海水が表面へ湧き上がり、台風通過後には一時的に海面水温が低下します。
その結果、暖かい海水が表面付近の浅い層にしかない場合は、海面水温が下がりやすく、台風へのエネルギー供給が減少するため、発達は抑制される傾向があります。
特に、台風の移動速度が遅く、強風が長時間吹き続ける場合には、海水のかき混ぜや湧昇が強まり、海面水温の低下がより大きくなります。
上陸に伴う発達抑制
一般に、台風は上陸すると勢力を弱めます。これは、海面から供給されていた暖かく湿った空気(水蒸気)が大幅に減少し、台風のエネルギー源が失われるためです。
また、豆知識3で述べたとおり、陸上の方が海上よりも摩擦力が大きく働きます。この摩擦によって台風のエネルギーが失われることも、勢力を弱める原因の一つです。
過去の気象予報士の試験問題
過去の気象予報士試験において、台風の構造や発達する仕組みなどに関する問題が出された例を、以下に紹介します。
第65回気象予報士試験 学科

図16 第65回学科 専門知識問11
(b)に関しては、図3を用いて述べたとおり、中心部の気温は大気下層から上層まで、周りより高いです。よって、問題文(b)は、誤りです。
第64回気象予報士試験 学科

図17 第64回学科 専門知識問10
(b)に関しては、図6を用いて述べたとおり、接線方向の風は、大気境界層上端付近(高度1~2 km)で最大となります。よって、問題文(b)は、誤りです。
(c)に関しては、「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、眼の中の下降流に伴う断熱昇温(断熱圧縮)も、眼の中の気温が周りより高い要因の一つとなります。また、この領域では湿度は低くなります。よって、問題文(c)は、正しいです。
第63回気象予報士試験 学科(その1)

図18 第63回学科 一般知識問9
(a)に関しては、「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、台風のエネルギー源は、海面から供給された水蒸気が上昇して凝結する際に放出される潜熱です。よって、問題文(a)は、正しいです。
(b)に関しては、図6を用いて述べたとおり、動径⽅向の⾵は⼤気境界層の中で最⼤となります。よって、問題文(b)は、正しいです。
(c)に関しては、豆知識3において図5を用いて述べたように、低気圧性の風(循環)の場合、遠心力が気圧傾度を弱める方向に働くので、傾度風は地衡風と比べ弱くなります。よって、問題文(c)は、誤りです。
第63回気象予報士試験 学科(その2)

図19 第63回学科 専門知識問10
(a)に関しては、図7を用いて述べたとおり、中心付近に集まった空気は上昇流となり、眼の壁雲(背の高い積乱雲)をつくります。よって、問題文(a)は、正しいです。
(b)に関しては、「海面水温の低下による発達抑制」の項目で述べたとおり、台風通過後には一時的に海面水温が低下し、台風の発達は抑制される傾向があります。よって、問題文(b)は、正しいです。
第62回気象予報士試験 学科

図20 第62回学科 専門知識問11
(b)に関しては、図5を用いて述べたとおり、大気境界層では、気圧傾度力、コリオリ力、遠心力に加えて摩擦力が働く結果、風は等圧線を横切って台風中心方向へ吹き込みます。よって、問題文(b)は、誤りです。
第61回気象予報士試験 学科

図21 第61回学科 専門知識問10
(a)に関しては、「雲の構造」の項目で述べたとおり、台風は、周囲の一般場における水平風の鉛直シアーが弱い環境で発生・発達します。よって、問題文(a)は、誤りです。
第60回気象予報士試験 学科

図22 第60回学科 専門知識問10
(a)に関しては、図6を用いて述べたとおり、動径⽅向の⾵は⼤気境界層の中で最⼤となります。よって、問題文(a)は、誤りです。
(b)に関しては、図7を用いて述べたとおり、大気上層に達した風は、時計回りに向きを変えながら周辺に吹き出します。よって、問題文(b)は、誤りです。
(c)に関しては、図3を用いて述べたとおり、台⾵の中⼼付近では大気下層から上層まで気温が周囲よりも高く、台⾵中⼼の低い気圧に対応しています。よって、問題文(c)は、正しいです。
第58回気象予報士試験 学科

図23 第58回学科 専門知識問12
(a)に関しては、「雲の構造」の項目で述べたとおり、風速は、眼を取り巻く壁雲付近で最大となります。よって、問題文(a)は、正しいです。
(b)に関しては、図3を用いて述べたとおり、台風の中心部の気温は地表面から圏界面まで(大気下層から上層まで)、周りより高いです。よって、問題文(b)は、正しいです。
(c)に関しては、図7を用いて述べたとおり、壁雲付近には上昇流がありますが、眼の中には下降流が存在します。よって、問題文(c)は、正しいです。
第57回気象予報士試験 学科

図24 第57回学科 専門知識問10
(c)に関しては、図5と7を用いて述べたとおり、地面摩擦によって風が中心に向かって吹き込み、中心付近に集まった空気は上昇流となり、眼の壁雲(背の高い積乱雲)をつくります。よって、問題文(c)は、正しいです。
(d)に関しては、「雲の構造」の項目で述べたとおり、台風は、周囲の一般場における水平風の鉛直シアーが弱い環境で発生・発達します。よって、問題文(d)は、誤りです。
第56回気象予報士試験 学科

図25 第56回学科 専門知識問11
(a)に関しては、図3を用いて述べたとおり、台風の中心部の気温は地表面から圏界面まで(大気下層から上層まで)、周りより高いです。よって、問題文(a)は、正しいです。
(b)に関しては、台風が発達する仕組みは、図15を用いて述べたとおりです。有効位置エネルギーが運動エネルギーに変換されることを主な要因として発生・発達するのは温帯低気圧です(豆知識9)。よって、問題文(b)は、誤りです。
(c)に関しては、「海面水温の低下による発達抑制」の項目で述べたとおり、台風がゆっくり移動する場合、海面水温の低下が大きくなります。よって、問題文(c)は、正しいです。
(d)に関しては、前回の豆知識(図12)と今回の豆知識の「雲の構造」の項目で述べたとおり、台風の中心の少し外側の壁雲付近で風速は最大となります(眼の部分の風は弱い)。よって、問題文(d)は、誤りです。
第54回気象予報士試験 学科(その1)

図26 第54回学科 一般知識問9
(a)に関しては、「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、台風のエネルギー源は、海面から供給された水蒸気が上昇して凝結する際に放出される潜熱です。よって、問題文(a)は、正しいです。
(b)に関しては、図3を用いて述べたとおり、台風の中心部の気温は大気下層から上層まで周りより高く、特に特に大気中~上層で顕著に高い傾向があります。よって、問題文(b)は、正しいです。
(c)に関しては、図6を用いて述べたとおり、台風の風を接線方向と動径方向の2つの成分に分けることがありますが、その大部分は接線方向の風であり、その風は大気境界層上端付近(高度1~2 km)で最大となります。よって、問題文(c)は、誤りです。
第54回気象予報士試験 学科(その2)

図27 第54回学科 専門知識問8
(b)に関しては、「上陸に伴う発達抑制」の項目で述べたとおり、台風が上陸後に勢力を弱める主な原因は、水蒸気の供給が減少し、また、陸地の摩擦によりエネルギーが失われるためです。よって、問題文(b)は、正しいです。
第53回気象予報士試験 学科

図28 第53回学科 専門知識問11
(a)に関しては、図5を用いて述べたとおり、⼤気境界層内では地面摩擦によって風が中心に向かって吹き込みます。よって、問題文(a)は、正しいです。
(c)に関しては、図6を用いて述べたとおり、接線方向の風は大気境界層上端付近(高度1~2 km)で最大となります。よって、問題文(c)は、誤りです。
第50回気象予報士試験 学科

図29 第50回学科 専門知識問11
(c)に関しては、「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、台風のエネルギー源は、海面から供給された水蒸気が上昇して凝結する際に放出される潜熱です。よって、問題文(c)は、正しいです。
(d)に関しては、図3を用いて述べたとおり、台⾵の中⼼付近では大気下層から上層まで気温が周囲よりも高く、台⾵中⼼の低い気圧に対応しています。よって、問題文(d)は、正しいです。
第48回気象予報士試験 学科

図30 第48回学科 専門知識問11
(a)に関しては、図3を用いて述べたとおり、台風の中心部の気温は大気下層から上層まで周りより高く、特に特に大気中~上層で顕著に高い傾向があります。よって、問題文(a)は、正しいです。
(b)に関しては、図7を用いて述べたとおり、大気の上層に達した風は、時計回りに向きを変えながら周辺に吹き出します。ただし、図11や14で例を示したとおり、吹き出している高さは300hPa(約9000m)より上です。よって、問題文(b)は、誤りです。
(c)に関しては、図5を用いて述べたとおり、大気境界層では摩擦力が加わり、風は台風中心方向へ吹き込みます。よって、問題文(c)は、正しいです。
第47回気象予報士試験 学科

図31 第47回学科 専門知識問10
(a)に関しては、豆知識51で述べたとおり、台風(熱帯低気圧)の大部分は、海面水温が約26~27℃以上の暖かくて湿った空気が存在する海域で発生します。また、図15を用いて述べたとおり、台風は海面から供給される水蒸気をエネルギー源として発達します。これらの条件を満たさない海域では、台風は次第に衰弱します。よって、問題文(a)は、正しいです。
第46回気象予報士試験 学科

図32 第46回学科 一般知識問9
(a)に関しては、図6を用いて述べたとおり、台風の風を接線方向と動径方向の2つの成分に分けることがありますが、その大部分は接線方向の風であり、その風は大気境界層上端付近(高度1~2 km)で最大となります。よって、問題文(a)は、正しいです。
(b)に関しては、図3を用いて述べたとおり、台風の中心部の気温は大気下層から上層まで周りより高く、特に特に大気中~上層で顕著に高い傾向があります。よって、問題文(b)は、誤りです。
第45回気象予報士試験 学科

図33 第45回学科 専門知識問10
(c)に関しては、前回の豆知識(図12)と今回の豆知識の「雲の構造」の項目で述べたとおり、台風の中心の少し外側の壁雲付近で風速は最大となります(眼の部分の風は弱い)。よって、問題文(c)は、誤りです。
第42回気象予報士試験 学科

図34 第42回学科 専門知識問12
(a)に関しては、「雲の構造」の項目で述べたとおり、スパイラルバンドでは、強風や突風を伴います。よって、問題文(a)は、誤りです。
(b)に関しては、「雲の構造」の項目で述べたとおり、風速は、眼を取り巻く壁雲付近で最大となります。よって、問題文(b)は、正しいです。
第41回気象予報士試験 学科

図35 第41回学科 専門知識問12
(a)に関しては、図6を用いて述べたとおり、接線方向の風は、大気境界層上端付近(高度1~2 km)で最大となります。よって、問題文(a)は、正しいです。
(b)に関しては、図6を用いて述べたとおり、動径⽅向の⾵は⼤気境界層の中で最⼤となります。よって、問題文(b)は、誤りです。
(c)に関しては、図3を用いて述べたとおり、台風の中心部の気温は地表面から圏界面まで(大気下層から上層まで)、周りより高いです。よって、問題文(c)は、誤りです。
(d)に関しては、図3を用いて述べたとおり、台⾵の中⼼付近では大気下層から上層まで気温が周囲よりも高く、台⾵中⼼の低い気圧に対応しています。さらに、「雲の構造」と「摩擦力の影響」の項目で述べたとおり、台風中心から少し離れた地点の対流圏下層での接線方向の風速が大きくなります。よって、問題文(d)は、正しいです。
第39回気象予報士試験 学科

図36 第39回学科 専門知識問8
(a)に関しては、「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、台風のエネルギー源は、海面から供給された水蒸気が上昇して凝結する際に放出される潜熱です。よって、問題文(a)は、正しいです。
(b)に関しては、図7を用いて述べたとおり、大気の上層に達した風は、時計回りに向きを変えながら周辺に吹き出します(高気圧性の循環)。よって、問題文(b)は、正しいです。
(c)に関しては、「海面水温の低下による発達抑制」の項目で述べたとおり、台風通過後には一時的に海面水温が低下します。よって、問題文(c)は、誤りです。
第38回気象予報士試験 学科

図37 第38回学科 一般知識問10
文(a)の下線部に関しては、図5を用いて述べたとおり、気圧傾度力とコリオリ力に加え、遠心力が働く状態で吹く傾度風となります。よって、文(a)の下線部は、誤りです。なお、旋衡風については、豆知識43をご覧ください。
文(b)の下線部に関しては、図3を用いて述べたとおり、中心付近の気温は各高度において周囲よりも高いので、静力学平衡の関係から、同じ高度における中心付近と周囲の気圧差は、高度が高いほど小さくなります。よって、文(b)の下線部は、正しいです。
文(c)の下線部に関しては、図7を用いて述べたとおり、大気上層に達した風は、時計回りに向きを変えながら周辺に吹き出します。このとき、北半球では動きの方向と直角方向に左から右に曲げるよう、コリオリ力(みかけの力)が作用します。よって、文(c)の下線部は、正しいです。
第33回気象予報士試験 学科

図38 第33回学科 一般知識問11
文(b)の下線部に関しては、「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、台風のエネルギー源は、海面から供給された水蒸気が上昇して凝結する際に放出される潜熱です。よって、文(b)の下線部は、誤りです。
第30回気象予報士試験 学科

図39 第30回学科 一般知識問10
文(a)の下線部に関しては、「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、台風のエネルギー源は、海面から供給された水蒸気が上昇して凝結する際に放出される潜熱です。よって、文(a)の下線部は、誤りです。
文(b)の下線部に関しては、「摩擦力の影響」と「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、大気境界層内では中心に吹き込む風によって、水蒸気が供給されます。よって、文(b)の下線部は、正しいす。
文(c)の下線部に関しては、図3を用いて述べたとおり、台風の中心部の気温は大気下層から上層まで周りより高く、特に特に大気中~上層で顕著に高い傾向があります。よって、文(c)の下線部は、誤りです。
文(d)の下線部に関しては、図6を用いて述べたとおり、台風の風を接線方向と動径方向の2つの成分に分けることがありますが、その大部分は接線方向の風であり、その風は大気境界層上端付近(高度1~2 km)で最大となります。よって、文(d)の下線部は、正しいです。
第28回気象予報士試験 学科

図40 第28回学科 専門知識問10
文(c)の下線部に関しては、図5を用いて述べたとおり、大気境界層(地表面近く)では摩擦力が加わり、風は台風中心方向へ吹き込み、中心付近に集まります(収束します)。よって、文(c)の下線部は、正しいです。
第27回気象予報士試験 学科

図41 第27回学科 一般知識問6
下線部(c)に関しては、「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、台風のエネルギー源は、海面から供給された水蒸気が上昇して凝結する際に放出される潜熱です。よって、下線部(c)は、誤りです。
下線部(d)に関しては、「摩擦力の影響」と「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、大気境界層内では中心に吹き込む風によって、水蒸気が供給されます。よって、下線部(d)は、正しいです。
第25回気象予報士試験 学科

図42 第25回学科 専門知識問7
(c)に関しては、「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、台風のエネルギー源は、海面から供給された水蒸気が上昇して凝結する際に放出される潜熱です。また、「上陸に伴う発達抑制」の項目で述べたとおり、台風が上陸後に勢力を弱める主な原因は、水蒸気の供給が減少し、また、陸地の摩擦によりエネルギーが失われるためです。よって、問題文(c)は、正しいです。
第20回気象予報士試験 学科

図43 第20回学科 専門知識問9
①に関しては、図7を用いて述べたとおり、大気の上層に達した風は、時計回りに向きを変えながら周辺に吹き出します(高気圧性の循環)。よって、問題文①は、正しいです。
②に関しては、図3を用いて述べたとおり、台風の中心部の気温は地表面から圏界面まで(大気下層から上層まで)、周りより高いです。よって、問題文②は、正しいです。
⑤に関しては、「海面水温の低下による発達抑制」の項目で述べたとおり、台風通過後には一時的に海面水温が低下します。よって、問題文⑤は、誤りです。
第18回気象予報士試験 学科

図44 第18回学科 一般知識問5
下線部(b)に関しては、「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、台風のエネルギー源は、海面から供給された水蒸気が上昇して凝結する際に放出される潜熱です。よって、下線部(b)は、誤りです。
下線部(c)に関しては、「摩擦力の影響」と「台風が発達する仕組み」の項目で述べたとおり、大気境界層内では中心に吹き込む風によって、水蒸気が供給されます。よって、下線部(c)は、正しいです。
さいごに
今回は、台風シリーズの3回目として、台風の立体構造と発達する仕組みをテーマとしました。
図15を用いて述べたとおり「中心への風の吹きこみ、上昇流、水蒸気、潜熱、暖気核、気圧の低下」をキーワードとした循環を繰り返すことで、台風は発達します。
つまり、原因が結果を生み、その結果が次の原因となることで、台風には自ら発達を続ける仕組みが備わっているのです。
次回は、台風の進路(移動)について、お話しする予定です。
今回の豆知識で参考にした図書等
●浅井冨雄,内田英治,河村 武 監修(1999)増補 気象の事典,平凡社
●安斎政雄(1998)新・天気予報の手引(改訂29版),日本気象協会
●伊藤耕介(2023)台風強度に関する近年の研究の進展について,日本風工学会誌48: 261-267
●岩槻秀明(2017)気象学のキホンがよ~くわかる本(第3版),秀和システム
●大澤輝夫(2007)台風時における沿岸海上風の推定手法,日本風工学会誌32: 369-378
●大西晴夫 ほか(2023)よくわかる天気・気象,ユーキャン学び出版
●小倉義光(1994) お天気の科学-気象災害から身を守るために-,森北出版
●小倉義光(1999) 一般気象学(第2版),東京大学出版会
●小山 亮(2015)MTSATラピッドスキャン観測データを用いて算出された台風領域の上層大気追跡風の特性,天気62: 881-894
●気象業務支援センターのwebサイト
●気象庁のwebサイト
●北畠尚子 (2025) 総観気象学 基礎編(改訂版),気象庁
●木村龍治(2007)海と気象,日本海水学会誌61: 89-94
●佐藤正樹,佐藤芳昭,八代 尚,伊藤耕介,筆保弘徳,三好建正,川畑拓矢,坪木和久,堀之内 武,岡本幸三,山口宗彦,中野満寿男,和田章義,金田幸恵,辻野智紀(2022)今後の台風予測研究に関する展望,天気69: 285-294
●杉山卓也(2006)海洋上の台風の研究,伝熱45 (192): 64-67
●中島俊夫(2022)イラスト図解 よくわかる気象学 実技編,ナツメ社
●新野 宏(2012)2. 境界層と自由大気の相互作用,天気59: 769-778
●饒村 曜(2005)気象予報士 完全合格教本,新星出版社
●宮本佳明(2017)台風の急発達メカニズムと強風,日本風工学会誌42: 15-22
●山岬正紀(1990)2.台風の構造,天気37: 316-320
●山下順也,石原正仁(2005)ウィンドプロファイラが捉えた台風第0416号の風の場の変化,天気52: 539-547
●山田広幸(2023)航空機観測により明かされる台風の「目」の実像,天気70: 530-532
●Windy.comのwebサイト
