【豆知識46】組織化されたマルチセル型雷雨とは|世代交代で降水系の寿命が延びます

はじめに

 生物の組織が細胞からできているのと同じように、雷雲という一つの「組織」を構成する要素である積乱雲のことを、降水細胞、あるいは降水セルと呼ぶことがあります(豆知識44)。
 孤立した積乱雲(単一セルの積乱雲)が発生するのは、風の鉛直シアー(豆知識7)が弱い場合です(豆知識44)。
 これに対し、複数の積乱雲が集団となっている雷雨を、マルチセル型(多重セル型)と呼びます。今回の豆知識では、マルチセル型雷雨の形成メカニズムや特徴を述べます。また、関連する気象予報士試験の問題も紹介します。

マルチセル型(多重セル型)雷雨とは

 図1は、前回の豆知識45の図3と同じものです。豆知識45において、親雲(図の①)に続いて、子雲(図の⑦)が発生することを述べました。実は、これがマルチセル型の形成メカニズムを表しています。

図1 新たに形成される積乱雲
注)豆知識45の図3を再掲。図の説明は、豆知識45の本文を参照。

 前回の豆知識では触れませんでしたが、このような親雲・子雲(マルチセル型の積乱雲)は、風の鉛直シアーが強い場合に形成されます。
 そこで、風の鉛直シアー(豆知識7)を復習しておきましょう。鉛直シアーが強いというときには、風速や風向、あるいはその両方が高度とともに大きく変化している状況を意味します。

 図2をご覧ください。①Aから見た、一般場の風(略して一般風。より大きなスケールの場の風のこと)は西風で、風速は高度とともに増加しているとします(②)。風速が高度とともに大きく変化(増加)していることから(②)、鉛直シアーが強い状況と言えます。
 ふつう降水セル(積乱雲)は、対流圏の中層の風に流されます(①)。そこで、移動中の積乱雲(①B)から見た一般風は、③に示すように、上層では西風下層では東風となります。この図2③の東風が、図1⑤の東風に対応します。

図2 風の鉛直シアーに関する模式図
注)①:積乱雲の進行方向、②:地上(①A)から見た一般風の高度分布、③:移動中の積乱雲(①B)から見た一般風の高度分布

組織化されていないマルチセル型雷雨(気団性雷雨)

 多重セルの場合であっても、一般風の鉛直シアーがそれほど強くないときには、個々の積乱雲は互いに組織化されず、孤立します。雷雨としての寿命もそれほど長くなく、また個々の積乱雲は一般風に流されて移動します。これを、組織化されていないマルチセル型と呼びます。
 図3にそのイメージ図を示します。この場合、3つの降水セル(積乱雲)がまとまってマルチセルを形成していますが、それぞれは組織化されておらず、降水セルが個々に活動し、消滅します。
 なお、夏季の夕方に局地的に発生する雷雨がこのタイプに該当し、気団性雷雨とも呼ばれます。あちらこちらで局地的に発生する規模の小さな雷雨で、持続時間は30分~1時間程度です。

図3 組織化されていないマルチセル型雷雨の構造

組織化されたマルチセル型雷雨

降水セルの世代交代

 一方、一般風の鉛直シアーが強い場合、積乱雲の外側に次々に新しい積乱雲を発生させる好条件となり、積乱雲の集団が組織化されるようになります。これを、組織化されたマルチセル型と呼びます。
 次々と新しい積乱雲の発生(降水セルの自己増殖)が起こると、降水系全体としての寿命は長くなります。つまり、積乱雲群として組織化されて、新たな積乱雲が次々に発生して世代交代を繰り返すことによって、数時間持続することがあります。

降水系全体の移動

 もう一つ重要なことは、降水セルの自己増殖によって降水系全体としての移動が、一般風によって流される個々の降水セルの移動とは異なるものになることです。

 図4をご覧ください。これは、組織化されたマルチセル型雷雨を、真上から見下ろした模式図です。黒の矢印は、時間の経過を表します。ここで、中層では西風、下層では南風が吹いているとします。新たに発生した降水セルE(①)に注目すると、中層の西風に流され、に移動しながら発達します(②のE、③のE)。このように、個々の降水セル中層の風に流されます。
 その間に、新たに降水セルF(②)、降水セルG(③)が図の位置に発生します。その結果、降水系は全体としては、中層の一般風の風下よりは、右側にずれた東南東の方向に動いたように見えます。
 このように、降水系全体の移動方向は、中層の一般風の方向より、下層の一般風の風上側にずれます。

図4 組織化されたマルチセル型雷雨の構造(世代交代)

 なお、図としては示しませんが、中層で西風、下層で東風であった場合は、降水セルは降水系の東側で発生します。そのため、降水系全体としては、個々の降水セルの移動速度より早く東に移動するように見えます。

 以上の内容を、気象レーダーで観測される雨雲(降水エコーの強度)に当てはめてみます。この場合、複数の対流性エコーで構成されているエコー群は、群を構成する個々のエコー異なる方向・速さで動くことがあるので、エコー群および個々のエコーの動向をそれぞれ監視する必要があります。

過去の気象予報士の試験問題

 以下は、過去の気象予報士試験において、マルチセル型雷雨が出題された例です。さらに、「積乱雲による局地的な気象現象」に関する設問のうち、豆知識43~45回では取り上げなかったものも紹介します。

第64回気象予報士試験 学科

図5 第64回学科 専門知識問11

 (a)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、積乱雲の成長期には、下層の空気が上昇し、水蒸気が凝結する際に放出される凝結熱豆知識16)などによって浮力が生じ、上昇気流が維持されます。その結果、雲の中の温度は、まわりより高くなっているので、問題文の下線部(a)は、正しいです。  
 (b)に関しては、設問の条件で発達する積乱雲の雲頂は、しばしば圏界面(通常-50℃以下)に達し、全ての雲粒は氷晶となっています。これらの氷晶は落下しながら霰や雪片となり、融解して雨となります。つまり、降水形成には、多くの場合氷粒子が関係していることから、「氷粒子が関わらない暖かい雨」とする問題文の下線部(b)は、誤りです。
 (c)に関しては、豆知識44の図2を用いて述べたように、乾燥した気層があると下降気流はより強化されます。よって、問題文の下線部(c)は、正しいです。
 (d)に関しては、豆知識43の図3、および今回の豆知識の図2を用いて述べたように、風の鉛直シアーが強い環境で発達します。よって、問題文の下線部(d)は、正しいです。

第62回気象予報士試験 学科

図6 第62回学科 一般知識問9

 (a)に関しては、豆知識6の図9を用いて述べたとおり、孤立した積乱雲は、10 km程度の水平スケールを持っています。よって、問題文(a)は、誤りです。
 (b)に関しては、豆知識16の図6を用いて述べたとおり、自由対流高度まで持ち上げられると、空気塊は浮力により自力で上昇するようになります。よって、問題文(b)は、誤りです。
 (c)に関しては、豆知識44の図2を用いて述べたとおり、冷却された空気が積乱雲の下にたまることにより、局地的な高気圧が形成されることがあります。よって、問題文(c)は、正しいです。

第58回気象予報士試験 学科

図7 第58回学科 専門知識問9

 (a)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、積乱雲の成長期には、下層の空気が上昇し、水蒸気が凝結する際に放出される凝結熱(豆知識16)などによって浮力が生じ、上昇気流が維持されます。その結果、雲の中の温度は、まわりより高くなっているので、問題文の下線部(a)は、正しいです。
 (b)に関しては、豆知識44の図2を用いて述べたとおり、冷却された空気が積乱雲の下にたまること(冷気プール)により、局地的な高気圧が形成されることがあります。よって、問題文(b)は、正しいです。
 (c)に関しては、設問の条件で発達する積乱雲の雲頂は、しばしば圏界面(通常-50℃以下)に達し、全ての雲粒は氷晶となっています。これらの氷晶は落下しながら霰や雪片となり、融解して雨となります。つまり、降水形成には、多くの場合氷粒子が関係していることから、「氷粒子が関わらない暖かい雨」とする問題文(c)は、誤りです。
 (d)に関しては、豆知識28の10種類の雲の特徴(⑩)の項目で述べたとおり、積乱雲が発達して雲頂が対流圏界面に達すると、水平方向に広がって、平ら(かなとこ状)になります。上空の広がった部分を構成する氷粒子は、上空の一般風の風下に運ばれやすいので、この部分は主に風下側に広がります。よって、問題文(d)は、誤りです。

第56回気象予報士試験 学科

図8 第56回学科 一般知識問9

 (a)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、孤立した積乱雲の寿命は30~60分程度です。よって、問題文の下線部(a)は、誤りです。
 (b)に関しては、豆知識44の図1、2を用いて述べたように、冷却によって下降流が強まり、上昇流が維持できなくなります。よって、問題文の下線部(b)は、正しいです。
 (c)に関しては、今回の豆知識の図2、4を用いて述べたように、風の鉛直シアーが強い環境で形成されることが多いです。よって、問題文の下線部(c)は、誤りです。
 (d)に関しては、豆知識45の図3(今回の豆知識の図1)を用いて述べたように、下降流域から吹き出した気流が周辺の気流とぶつかって形成されます。よって、問題文の下線部(d)は、正しいです。

第53回気象予報士試験 学科

図9 第53回学科 一般知識問8

 (a)~(e)に関しては、図4を用いて述べた内容を考慮すると、(a)には “マルチセル型”、(b)には “中層”、(c)には “下層” 、(d)には “北端”、(e)には “南端”、の語句がそれぞれ入ります。

第53回気象予報士試験 学科

図10 第53回学科 専門知識問8

 (a)に関しては、竜巻は沿岸部に集中しているのに対し(豆知識43の図11)、ダウンバーストやガストフロントの場合、内陸部でやや多い傾向がみられます(豆知識45の図4)。よって、問題文の下線部(a)は、誤りです。
 (b)に関しては、豆知識45の図3(今回の豆知識の図1)を用いて述べたように、地表付近の空気が持ち上げられて、新たな積乱雲が発生することがあります。よって、問題文の下線部(b)は、正しいです。

第52回気象予報士試験 学科

図11 第52回学科 一般知識問9

 (a)に関しては、豆知識16の図6を用いて述べたとおり、自由対流高度まで持ち上げられると、空気塊は浮力により自力で上昇するようになります。よって、問題文の下線部(a)は、誤りです。
 (b)に関しては、豆知識44の図1、2を用いて述べたように、冷却によって下降流が強まり上昇流が維持できなくなります(下層空気の流入が妨げられます)。よって、問題文の下線部(b)は、正しいです。
 (c)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、孤立した積乱雲の寿命は30~60分程度です。よって、問題文の下線部(c)は、誤りです。

第48回気象予報士試験 学科

図12 第48回学科 専門知識問9

 (b)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、孤立した積乱雲の寿命は30~60分程度です。よって、問題文(b)は、正しいです。
 (c)に関しては、豆知識43の図3、および今回の豆知識の図2を用いて述べたように、風の鉛直シアーが強い環境で、強い上昇気流が維持されます。よって、問題文(c)は、正しいです。

第47回気象予報士試験 学科

図13 第47回学科 一般知識問9

 (a)に関しては、今回の豆知識の図2、4を用いて述べたように、風の鉛直シアーが強い環境で発生することが多いです。よって、問題文の下線部(a)は、正しいです。
 (b)に関しては、豆知識44の図1、2を用いて述べたように、冷却によって下降流が強まり上昇流が維持できなくなります。よって、問題文の下線部(b)は、正しいです。
 (c)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、孤立した積乱雲の寿命は30~60分程度です。よって、問題文の下線部(c)は、誤りです。
 (d)に関しては、今回の豆知識の図4を用いて述べたように、降水系全体としての寿命は長くなります。個々の積乱雲の寿命は延びません。よって、問題文の下線部(d)は、誤りです。

第43回気象予報士試験 学科

図14 第43回学科 一般知識問9

 (a)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、発達期の積乱雲の中は、ほぼすべて上昇流で占められています。よって、問題文の下線部(a)は、誤りです。
 (b)に関しては、豆知識44の図2を用いて述べたように、氷粒子が融解する際は、空気が冷却され下降気流はいっそう強まります。よって、問題文の下線部(b)は、誤りです。
 (c)に関しては、豆知識43の図2を用いて述べたように、竜巻は水平スケールが小さいため、地球の自転の影響(コリオリ力の影響)を受けません。積乱雲の場合も同様に、地球の自転の影響を受けないため、明瞭な時計回りの渦巻きは発生しません。よって、問題文の下線部(c)は、誤りです。

第40回気象予報士試験 学科

図15 第40回学科 一般知識問9

 (a)、(b)に関しては、「豆知識6の図9」「豆知識44の図1」を用いて述べた内容を考慮すると、(a)には “10”、(b)には “1”の数値がそれぞれ入ります。
 (c)に関しては、豆知識16の図6を用いて述べた内容を考慮すると、(c)には “自由対流高度”の語句が入ります。
 (d)に関しては、「豆知識44の図1」「豆知識45の図3」を用いて述べた内容を考慮すると、 (d)には “湿った”の語句が入ります。

第38回気象予報士試験 学科

図16 第38回学科 専門知識問11

 (a)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、孤立した積乱雲の寿命は30~60分程度です。よって、問題文(a)は、正しいです。
 (b)に関しては、豆知識45の図3(今回の豆知識の図1)を用いて述べたように、先端部で周囲の湿った暖かい空気が持ち上げられて新たな積乱雲が発生することがあります。よって、問題文(b)は、正しいです。
 (c)に関しては、豆知識43の図3を用いて述べたように、風の鉛直シアーが強い環境で、強い上昇気流が維持されます。よって、問題文(c)は、誤りです。

第35回気象予報士試験 学科

図17 第35回学科 専門知識問12

 (a)に関しては、豆知識45の図3(今回の豆知識の図1)を用いて述べたように、風がぶつかる収束する)ところで新たな積乱雲が発生します。よって、(a)には “収束域”の語句が入ります。
(b)に関しては、局地的に熱せられている(周囲より気温が高い)場所も熱的に上昇流が生じているので、積乱雲が発生します。よって、(b)には “高い”の語句が入ります。
 (c)に関しては、今回の豆知識の図4を用いて述べた内容を考慮すると、(c)には “”の語句が入ります。
 (d)に関しては、新たに積乱雲が発生する場所は、地上付近の風が収束しており、周囲より気温が高い領域であることを考慮すると、 (d)には “”の記号が入ります。

第34回気象予報士試験 学科

図18 第34回学科 一般知識問8

 (a)に関しては、今回の豆知識の図2を用いて述べたように、風の鉛直シアーが強い環境で発生することが多いです。よって、問題文の下線部(a)は、正しいです。
 (b)に関しては、今回の豆知識の図4を用いて述べたように、組織化されたマルチセルの場合、新たに形成された発達期のセル、成熟期のセル、衰弱・消滅期のセルで構成されています。このとき、発達期のセルは上昇気流、衰弱・消滅期のセルは下降気流でそれぞれ占められており、上昇流域と下降流域は分離しています。よって、問題文の下線部(b)は、正しいです。
 (c)に関しては、豆知識45の図3(今回の豆知識の図1)を用いて述べたように、一般風の風下側で下層の収束が強まります。よって、問題文の下線部(c)は、誤りです。
 (d)に関しては、豆知識44の図2を用いて述べたように、雨粒が蒸発(氷粒子の場合は昇華)するときの相変化に伴う潜熱が周囲の空気から奪われることで、空気が冷却される効果が大きいです。地表面が下層大気を冷却する効果が大きいのでは、ありません。よって、問題文の下線部(d)は、誤りです。

第31回気象予報士試験 学科

図19 第31回学科 専門知識問10

 (a)に関しては、今回の豆知識の図4を用いて述べたように、雲システムの移動方向と、個々の積乱雲の移動方向とは異なります。よって、問題文の下線部(a)は、誤りです。

第29回気象予報士試験 学科

図20 第29回学科 一般知識問8

 (a)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、孤立した積乱雲の寿命は30~60分程度です。よって、問題文の下線部(a)は、正しいです。
 (b)に関しては、豆知識44の図1、2を用いて述べたように、冷却によって下降流が強まり、上昇流が維持できなくなり、積乱雲はやがて消滅します。周囲からの空気の流入が、積乱雲を短命にする主要因とは言えません。よって、問題文の下線部(b)は、誤りです。
 (c)に関しては、豆知識45の図3(今回の豆知識の図1)を用いて述べたように、下降流によって生じる気流と周囲の気流との間で収束が起こり、発生します。よって、問題文の下線部(c)は、正しいです。

第24回気象予報士試験 学科

図21 第24回学科 専門知識問9

 (c)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、孤立した積乱雲の寿命は30~60分程度です。一方で、今回の豆知識の図4を用いて述べたように、積乱雲群として組織化されて、数時間持続することがあります。よって、問題文(c)は、正しいです。

第13回気象予報士試験 学科

図22 第13回学科 専門知識問8

 (a)に関しては、豆知識44の図2を用いて述べたように、降水粒子の蒸発・融解によって周囲の空気が冷却され、下降気流が強められます。よって、問題文の下線部(a)は、正しいです。
 (b)に関しては、豆知識44の図2を用いて述べたように、乾燥した気層があると下降気流はより強化されます。よって、問題文の下線部(b)は、誤りです。
 (c)に関しては、今回の豆知識の図4を用いて述べたように、積乱雲が次々に発生して組織的に移動する雷雨を多重セル(マルチセル)雷雨と言います。よって、問題文の下線部(c)は、正しいです。
 (d)に関しては、今回の豆知識の図2と図4を用いて述べたように、風の鉛直シアーが強い環境で発生することが多いです。よって、問題文の下線部(d)は、正しいです。

第10回気象予報士試験 学科

図23 第10回学科 専門知識問10

 (a)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、孤立した積乱雲の寿命は30~60分程度です。よって、問題文(a)は、正しいです。
 (b)に関しては、豆知識45の図3(今回の豆知識の図1)を用いて述べたように、下降流域から吹き出した気流が周辺の気流とぶつかって、新たな積乱雲(雷雲)の発生が見られることがあります。よって、問題文(b)は、正しいです。
 (c)に関しては、豆知識43の図3、および今回の豆知識の図2を用いて述べたように、風の鉛直シアーが強い環境で、強い上昇気流が維持されます。よって、問題文(c)は、正しいです。

第9回気象予報士試験 学科

図24 第9回学科 一般知識問10

 本問に関しては、図4を用いて述べた内容を考慮すると、 “”が正解となります。

第6回気象予報士試験 学科

図25 第6回学科 専門知識問9

 ①に関しては、豆知識14の「気象現象のスケールと上昇・下降流」の項目で述べた内容を考慮すると、大規模運動に伴う上昇流は1~10cm/sのオーダーであり、個々の発達した積乱雲に伴う上昇流は10m/sのオーダーに達すると言えます。よって、問題文①は、正しいです。
 ②に関しては、豆知識44の図1に示したとおり、成熟期の下降気流は雲頂付近ではなく、それより低い高度で見られます。よって、問題文②は、誤りです。

第3回気象予報士試験 学科

図26 第3回学科 一般知識問8

 (a)に関しては、豆知識6の図9を用いて述べたとおり、孤立した積乱雲は、10 km程度の水平スケールを持っています。よって、(a)には “10km”の語句が入ります。
 (b)に関しては、豆知識44の図1を用いて述べたように、孤立した積乱雲の寿命は30~60分程度です。よって、(b)には “1時間”の語句が入ります。
 (c)に関しては、豆知識16の図6を用いて述べた内容を考慮すると、(c)には “自由対流高度”の語句が入ります。
 (d)に関しては、豆知識28の10種類の雲の特徴(⑩)の項目で述べたとおり、積乱雲が発達して雲頂が対流圏界面に達すると、水平方向に広がって、平ら(かなとこ状)になります。よって 、(d)には “かなとこ雲”の語句が入ります。
 (e)に関しては、「豆知識44の図1」「豆知識45の図3」を用いて述べた内容を考慮すると、 (e)には “暖かく湿った”の語句が入ります。

さいごに

 図4で示したとおり、組織化されたマルチセル型雷雨では、発達期、成熟期、衰弱期の降水セルが規則正しく並びます。この場合、衰弱期の降水セルが消滅すると、また新たな降水セルが発生します。こうした過程が繰り返されることで、全体としては、あたかも一つの生き物が活動しているかのような様相を示します。
 豆知識30の冒頭で「九州地方にあった低気圧が、翌日には関東地方に移動していることがある。この場合、低気圧は、生き物のように自らの意思で動いているわけではない。その動きは、広い範囲での気圧の分布状態(気圧配置)が変化することによって生じる」と述べました。
 マルチセル型雷雨についても、それ自体に意思があって組織化されるわけではありません。その発生メカニズムの概要は、今回述べたとおりです。それでもなお、「組織化されたマルチセル」という表現に接すると、気象現象の奥深さをあらためて感じさせられます。

今回の豆知識で参考にした図書等

●岩槻秀明(2017) 気象学のキホンがよ~くわかる本(第3版),秀和システム
●小倉義光(1994) お天気の科学-気象災害から身を守るために-,森北出版
●小倉義光(1999) 一般気象学(第2版),東京大学出版会
●小倉義光,奥山和彦,田口昌彦(2002)SAFIRで観測した夏期の関東地方における雷雨と大気循環 Ⅰ: 雷雨活動の概観と雷雨発生のメカニズム,天気49: 541-553 
●加藤輝之(2017) 図解説 中小規模気象学,気象庁
●気象業務支援センターのwebサイト
●東 俊孝,片山勝之,中北英一(2017)マルチセル型ストームの早期探知に関する研究,土木学会論文集B1(水工学)73: 223-228
●吉崎正憲(1999)メソ対流系(Ⅰ),天気46: 783-790 
●吉崎正憲(1999)メソ対流系(Ⅱ),天気46: 833-841 
●吉﨑正憲,加藤輝之(2007) 豪雨・豪雪の気象学,朝倉書店

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